㊾AI失業」前夜 これから5年、職場で起きること
〇著者 鈴木貴博 経営戦略コンサルタント
〇発刊 2018年7月一刷
〇発行PHP研究所
〇ジャンル AI・ロボット
〇おすすめ度 4
〇難易度 3
〇期待できる効果
「人工知能が引き起こす労働環境の大変化はすでに始まっているが、とくにホワイトカラーは今後5年で大きな変化に見舞われ、それに対して何が起きるのか、何をすべきかを著者独自の観点でわかりやすく説明し理解することができます。大変示唆に富む本だと思います。
〇概要
第1章 AI失業をめぐる世界 どのように仕事は消滅していくか
スーパーコンピューター京の意味
ディープラーニングの実現
AI失業とは何か
まず専門領域の仕事から消滅していく
ナレッジワーカーという高級とりの終焉
次の20年後までにクリエイティブな仕事も消えていく
30年先にあるシンギュラリティーというマイルストーン
なぜ弁護士の仕事はまだなくなる気配すらないのか
AI失業が金融と運輸から始まる理由
スーパーコンピュータが10蔓延で手に入る日
今あなたに何が起きているのか
2章 パワードスーツ効果の恐怖 なぜ、年々仕事が忙しくなっているのか
仕事の生産性が倍になっても収入は変わらない
かつて不毛だった会議は高生産性へと変貌している
スマートフォンの次に来るもの
すでに登場している人工知能秘書
第3章 正社員の消滅 その定義と役割はいかに変化してきたか
増え続ける雇用者と減少する正社員
RPAでホワイトカラーの事務作業が激減する
メガバンクの大規模リストラの陰にあること
最終的には古い定義の正社員が消滅する
第4章 法規制で雇用を守る日本の末路
自動運転による仕事消滅のカウントダウン
AI失業かAI後進国か
水面下で進められるAI医師の開発
AI失業は日本経済にどれほどのインパクトを与えるか
第5章 人工知能が作りだす「便利だけど怖い」未来
新しい人口越智能ペット
しゃべるペットの条件
米中の目がIT企業が作る未来
アマゾンイフェクトと人工知能
第6章 人がいらなくなる職場、人が足らないままの職場
2023年、日本の職場はどう変わるのか
第7章 10年後でも生き残れる3つの人材
階層社会化の加速と人工知能
これからの10年間で生き残れる仕事とはなんなのか
人工知能がこれから10年間にできない仕事を目指す
〇引用
今後5年間で失われる仕事は710万人分。その一方で人工知能の発展によって新たに生まれる仕事がある。その規模が200万人分。さきほどの510万人というすうじはその差なのだが、問題は消えていく仕事の規模のほうが大きいということだ。
ふゅーちゃリストのレイカーツワイルは2045年には地球上の人類全体の思考能力をコンピュータと人工知能が越えると予測しており、そのことをシンギュラリティーと名付けた。これが人工知能の真価の未来についての究極のマイルストーンである。
世界中の自動車メーカーがレベル5と呼ばれる完全自動運転車の完成に向けて研究開発投資を続けており、2022年には最初のレベル5の車が市販されるといわれている。
まずは運輸・物流分野と金融分野で仕事の消滅が始まる。
旅の情報の口コミサイトであるトリップアドバイザーと、飲食店の予約サイトであるオープンテーブルを活用することで、素人でもホテルのコンシェルジュのごとくふるまうことができる時代にきている。
現在の仕事の現場では新しい事業や業務の勝ちパターンを設計して、それを横展開するようにすることが正社員の仕事。
日産・ルノー連合はこの2022年にレベル5と呼ばれる一般道において完全に自動運転を可能とする自動車を発売すると宣言している。
一番先端的な人工知能医師の開発をすすめている国は中国であり、開発の推進母体は大手保険会社で、すでに1兆円規模の予算をつぎ込んでこの開発をすすめているという。
病院に行かなくてもスマホに向かって症状をはなせば、病名が分かったうえで、処方箋も書いてもらう方法。
画期的なイノベーションが世の中を変えていく際に、「30年の法則」といわれるものがある。ペニシリンでも、自動車でも、PCでも世の中を変える画期的な発明品は登場してからそれが世界をすっかり変えてしまうまでに30年の時間がかかるというものだ。最近の例でいえばデジカメが世の中を変えるまでにちょうど30年かかった。
空調が良く聞いた快適なオフィスで一日中、コンピュータスクリーンに向かっていれば完結するような仕事はこれから先の10年で大幅に消滅していき、フィールドに出て頭と身体の両方を使う仕事は生き残るということだ。
金融業界の花形トレーダーや、医者、弁護士、会計士といったナレッジワーカーの仕事は今後、人工知能に大幅にとってかわられるようになる。世界が急速に平均化、最適化すれば、世の中の「儲かる仕事」の余地は急激になくなっていく。
人口越智能が引き起こす労働環境の大変化は待ったなしの、つまり現在進行形の社会問題である。
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